1-10.乳酸菌発酵エキスの役割

乳酸菌発酵エキス

乳酸菌発酵エキスは、たくさんの短鎖脂肪酸を含んでいます

我々の腸内に棲息する善玉菌は、糖を分解・発酵させて分泌物を作り出しています。
この分泌物を乳酸菌発酵エキスと呼びます。

乳酸菌発酵エキスは様々な健康成分を含んでいますが、その一つに短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)があります。

短鎖脂肪酸

短鎖脂肪酸は、炭素数6以下の脂肪酸であり、
具体的には酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸を指します。
但し、乳酸、コハク酸は短鎖脂肪酸に含めないとする見解もあります。

反すう動物における短鎖脂肪酸の役割

摂取した飼料が反芻胃内で微生物の発酵を受ける反すう動物においては、
この発酵の際に生じる短鎖脂肪酸(主に酢酸、プロピオン酸、酪酸)が主なエネルギー源となります。
反すう胃内で生成した酪酸の多くは反すう胃粘膜でβ-ヒドロキシ酪酸に変換されるため、肝門脈に現れるのはおよそ10分の1となります。
このとき生成されるβ–ヒドロキシ酪酸も、反すう家畜にとってはエネルギー源となります。

またプロピオン酸の多くは、肝臓で糖の産生に利用されます。
反すう動物が必要とする糖分の多くはプロピオン酸から産生されます。

ヒトにおける役割

ヒトの大腸内においても腸内細菌が食物繊維(難消化性糖類)を発酵する際に短鎖脂肪酸が産生され、健康維持に欠かせない役割を果たしています。
ヒトの場合、酢酸、プロピオン酸、酪酸の3種が代表的な短鎖脂肪酸です。

ヒトの体においては、短鎖脂肪酸が作られる部位は腸内細菌が多い大腸です。
作られた短鎖脂肪酸は、大腸から体内に吸収されます。

吸収された短鎖脂肪酸のうち、酪酸は大腸上皮細胞のエネルギー源として利用され、酢酸とプロピオン酸は肝臓や筋肉で代謝利用されます。

また、短鎖脂肪酸の受容体が全身の様々な部位にあり、短鎖脂肪酸はこれらの部位の生体調節機能を果たしています。

短鎖脂肪酸のなかには生活習慣病と密接な関係があるものが多いので、癌や肥満、糖尿病、免疫疾患を予防・治療する手段として短鎖脂肪酸の利用が活発に研究されています。

 

短鎖脂肪酸は体内に吸収される前の段階で、腸管においても重要な働きがあります。
すなわち、短鎖脂肪酸は酸性の成分なので、腸内で短鎖脂肪酸が産生されると腸内が弱酸性の環境になります。
すると、悪玉菌の出す酵素の活性が抑えられるため、発がん性物質である二次胆汁酸や有害な腐敗産物ができにくくなり、腸内環境が健康に保たれます。

また、弱酸性になることでカルシウムやマグネシウムなどの重要なミネラルが水溶性に変化するので、より体内に吸収されやすくなり、ミネラル不足を補うことができると言われています。

ヒトの健康とのつながり

有害物質からのバリア機能の強化

酢酸には大腸のバリア機能を高める働きがあると言われています。
例えば、酢酸を多く生産するビフィズス菌を摂取していると、病原性大腸菌に感染しても体内にその毒素が入り込むのを防げることが示されています。
また、酪酸には腸管細胞のMUC2遺伝子を活性化することで、粘膜物質であるムチンの分泌を促し、大腸を保護する作用があると言われています。

発がん予防

短鎖脂肪酸は腸内を弱酸性にすることで有害な二次胆汁酸をできにくくするため、大腸癌の予防につながります。
また、酪酸は大腸細胞の異常な増殖を抑える、アポトーシスを促す、大腸細胞の病変を抑えるなどの作用により大腸癌の発症を抑えるといわれています。
さらに、プロピオン酸は肝臓癌細胞にある短鎖脂肪酸受容体に作用して、肝臓癌細胞の増殖を抑えるという研究報告があります。

肥満の予防

短鎖脂肪酸は脂肪細胞にある短鎖脂肪酸受容体に作用して脂肪細胞へのエネルギーの取り込みを抑え、脂肪細胞の肥大化を防ぎます。
また、神経細胞にある短鎖脂肪酸受容体にも作用し、交感神経系を介してエネルギー消費を促すなど、エネルギーバランスを整える働きがあります。

糖尿病の予防

酪酸には腸管にあるL細胞に作用して、腸管ホルモンであるGLP-1の分泌を促す作用があります。
GLP-1は糖尿病を予防・改善する作用があり、インスリンを分泌する膵臓β細胞数の減少を抑えたり、インスリン分泌を促す作用があります。
例えばGLP-1受容体との作用性を高めたGLP-1受容体作動薬は、糖尿病治療薬のひとつとして使われています。

食欲の抑制

酪酸やプロピオン酸は腸管のL細胞からGLP-1のほかPYYのような腸管ホルモンも分泌します。
GLP-1やPYYは、脳に作用して食欲を抑える働きがあり、満腹感を持続させて過食を防ぐことが知られています。
また、酢酸はそれ自体が脳に直接作用して食欲を抑えるという研究報告もあります。

免疫機能の調節

腸には全身の免疫細胞のおよそ60%が集中しており、腸の免疫バランスの崩れ(特に過剰な免疫反応)は全身に影響すると言われています。
酪酸には過剰な免疫反応を抑えるTreg細胞という免疫細胞を増やす効果があり、これには酪酸が大腸上皮細胞のヒストンのアセチル化を促進する働きが関与していることが分かっています。
腸の免疫疾患である炎症性腸疾患の患者は日本でも増えており、治療法が見つかっておらず難病に指定されています。
こうした患者では、腸内細菌中の酪酸産生菌の数が減っているケースが多いとされます。
こうした炎症性腸疾患やクロストリジウム・ディフィシル感染症の患者に対しては生体便移植により、酪酸菌を含めた腸内細菌全体を移植する方法により治療できる可能性があることが示されています。

ヒトにおける短鎖脂肪酸の供給源

短鎖脂肪酸ができるためには腸内細菌による発酵が必要です。
食物繊維の中には腸内細菌によっては発酵されないものもあります。
実際に発酵に使われる成分としては、レジスタントスターチ(でん粉性の食物繊維)、非でん粉性の食物繊維、オリゴ糖の順で多くなっています。

ヒトの大腸内発酵の基質
発酵基質 1日あたりの供給量
レジスタントスターチ 8 – 40 g
非でん粉質の食物繊維 8 – 18 g
オリゴ糖・糖アルコール 4 – 14 g
タンパク質(消化酵素など自身の体由来) 5 – 18 g
難消化性タンパク質(食事由来) 4 – 10 g
ムチン 2 – 3 g

また、食物繊維の種類によっても、腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸の割合が異なり、レジスタントスターチは酪酸を比較的多く作る傾向があり、オリゴ糖、フラクトオリゴ糖は酢酸を多く作る傾向があります。

食物繊維の発酵で生じる短鎖脂肪酸の割合
食物繊維 酢酸 プロピオン酸 酪酸
レジスタントスターチ 41% 21% 38%
小麦ふすま 61% 19% 20%
ペクチン 71% 15% 8%
グァーガム 58% 27% 8%
オーツブラン 57% 21% 22%
フラクトオリゴ糖 78% 14% 8%
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の「短鎖脂肪酸」の項を抜粋・改訂)

このように、腸内で善玉菌により作られている分泌物には優れた健康効果があるため、これを体外で生産した乳酸菌発酵エキスが注目されているわけです。

そして、私のお勧めしている乳酸菌発行エキスは、「善玉元気」です。

 

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